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あの子大丈夫かしら:気遣いを装ったゴシップは女性間の競争で優位に働く

原題: Bless her heart: Gossip phrased with concern provides advantages in female intrasexual competition

著者: Tania A. Reynolds, Jon K. Maner, Roy F. Baumeister

出版社等: Journal of Experimental Social Psychology Volume 116, January 2025, 104670

出版日: 2024-09-12

DOI: 10.1016/j.jesp.2024.104670

参考URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0022103124000830
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多くの女性がゴシップによって被害を受けたと報告する一方で、自ら否定的なゴシップを広めたと報告する者は少ない。女性のゴシップ発信者は、対象者への気遣いからそうした発言をしている場合、自分がゴシップをしているという認識を持たない可能性がある。本研究では、女性が自分のゴシップが気遣いによって動機づけられていると信じているかどうか、また、対象者への気遣いを表明することで、ゴシップをする女性が社会的なコストから守られつつ、同時に対象者の評判を損なうかどうかを、4件の研究(N = 1709)を通じて検討した。

第1研究では、ゴシップの動機における性差を検証した。男性と比較して、女性は他者への害を与えることよりも気遣いをより強く動機として挙げ、とりわけ他の女性についてゴシップする際にその傾向が顕著であった。このことは、こうした動機が女性間の同性競争におけるゴシップの特徴であることを示唆している。

第2研究では、否定的なゴシップを気遣いを込めて話した女性(対照として、悪意を込めた場合や中立的な場合)について、より信頼でき、社会的・恋愛的なパートナーとして望ましいと評価された。

第3研究では、気遣いを込めたゴシップをする女性への好意的評価が再現された。女性参加者は特に悪意あるゴシップを行う女性を嫌悪する傾向が強く、気遣いの表明が女性たちの反感を回避する手段になり得ることが示唆された。一方、男性参加者は、ゴシップの内容が悪意あるものや情報なしであった場合と比べて、気遣いを込めたものであると知ったとき、ゴシップの対象となった女性への恋愛的関心が低下した。これは、気遣いを装ったゴシップが、女性の恋愛的な見込みに悪影響を与えうることを示している。

第4研究では、これらの傾向が対面でのやり取りにも当てはまることが明らかになった。気遣いを込めてゴシップを話す女性は、悪意を込めた場合よりも社会的パートナーとして好まれた。さらに、気遣いを込めたゴシップは、悪意あるゴシップと同等に、対象となった女性の印象を損なった。

総じて、気遣いを伴って伝えられた否定的なゴシップは、対象となった女性の評判を効果的に傷つけると同時に、発信者自身の評判を守ることができるという、女性間の同性競争において有効な戦略である可能性が示唆された。

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