背景
父親の年齢が子のてんかんリスクと関連するのは、男性の加齢による新規突然変異が原因なのか、それとも交絡因子による単なる関連なのかは依然として不明である。
方法
台湾において、人口ベースの多世代および兄弟姉妹比較研究を実施した。本研究には、2001年から2017年に生まれ、2020年まで追跡された2,751,232人の単胎児が含まれる。このうち、父方および母方の祖父母の情報がある819,371人/826,087人を多世代解析に、兄弟姉妹がいる1,748,382人を兄弟姉妹比較に用いた。Cox比例ハザード回帰モデルを使用し、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を推定した。
結果
全コホートにおいて、高齢の父親を持つ子のてんかんリスクは上昇していた。例えば、父親の年齢が50歳以上の場合、25~29歳の父親と比較してHRは1.36(95% CI: 1.15–1.61)であった。また、父親が母親より年上である場合もリスクが高く、親の年齢差が15年以上ある場合のHRは1.29(95% CI: 1.16–1.43)であった。しかし、親の年齢差を考慮すると、父親の年齢と子のてんかんリスクの関連は弱まり、50歳以上の父親におけるHRは1.11(95% CI: 0.93–1.34)となった。多世代解析では、親の出生時の高齢祖父が子のてんかんリスクと関連する証拠は得られなかった。さらに、兄弟姉妹比較においても、高齢の父親が子のてんかんリスクを上昇させるという関連は支持されず、父親の年齢が1歳増加するごとのHRは0.96(95% CI: 0.96–0.97)であった。
結論
これらの結果は、高齢の父親が子のてんかんと関連するという仮説を支持しない。むしろ、観察された父親の年齢と子のてんかんリスクの関連は、家族要因によって説明される可能性がある。