オーストラリアにおける女性が主要な稼ぎ手となる家庭:関係満足度の変化

目的
本研究は、女性が主要な稼ぎ手となる家庭への移行が、男女それぞれの関係満足度の変化とどのように関連しているかを縦断的に調査した。

背景
女性が主要な稼ぎ手となる家庭は、特にオーストラリアのように男性稼ぎ手文化が強い国において、ジェンダー規範に根本的な挑戦をもたらす。その増加にもかかわらず、関係満足度への影響についての研究は十分に進んでいない。本研究では、専門化、相対的資源、役割協調、ジェンダー実践理論に基づいて仮説を立てた。

方法
オーストラリア家計・所得・労働動態調査(HILDA)の17波(76,866の観察、11,986人)を使用し、固定効果モデルを用いて、稼ぎ手の変化と関係満足度の関連を分析した。先行研究に基づき、雇用状況とパートナー間の収入差を組み合わせて稼ぎ手の類型を作成し、単一稼ぎ手と共働きを区別した。

結果
男女ともに、女性がパートナーより多く稼ぐ共働き家庭へ移行すると、関係満足度が低下した。男性の失業や病気によって女性が主要な稼ぎ手となる場合、女性の関係満足度が低下した。回答者は、男性が稼ぎ手で女性が専業主婦の家庭において最も満足度が高かった。女性においては、ジェンダー役割に関する態度がこれらの関連の一部に影響を与えていたが、男性にはその影響は見られなかった。

結論
本研究の結果は、女性が主要な稼ぎ手となる家庭の増加が関係の質や安定性の低下に寄与する可能性を示唆している。