ジェンダー平等という両刃の剣:犯罪被害に関する国際比較研究

目的:
これまでの研究は、日常活動/ライフスタイル理論が個人の犯罪被害の研究に適用可能であることを確認している。本研究では、地域の無秩序、および国家レベルでの所得格差、ジェンダー平等に対する態度、市民の基本的な人間のニーズの充足が犯罪の機会と関連し、それによって被害の説明に寄与する可能性があるかを問う。本研究では、動機を持った犯罪者や犯罪の標的となる可能性のある者の存在、さらに有効な監視者の不在を示す可能性のある人口統計学的変数を測定する。

方法:
データは、第6回世界価値観調査(2010年~2014年収集)、ソーシャル・プログレス・インデックス報告書、世界銀行の情報を用いた。本研究のサンプルは46か国の64,861人の回答者を対象としている。

結果:
データ分析の結果、所得格差とジェンダー平等の存在によって被害リスクが増加し、人々の基本的な人間のニーズが満たされている場合には被害リスクが低下することが示された。また、地域の無秩序とある犯罪被害指標との関係は、ジェンダー平等に対する態度によって調整されることが明らかになった。

結論:
犯罪の機会と日常活動/ライフスタイル要因(国家レベルおよび個人レベル)の役割をさらに調査することで、犯罪被害の理解を向上させることができる。特に、構造的要因と文化的要因が犯罪被害の予測においてどのように相互作用するのかを明らかにすることが重要である。